5人に1人が糖尿病

食事などで摂取したブドウ糖は、小腸から吸収され、血液中に取り込まれます。その後、膵臓から分泌されるインスリンによって全身の細胞に運ばれ、エネルギー源として使われます。

糖尿病は、膵臓からのインスリン分泌が少なくなる、もしくはインスリンは分泌されるけれど、効き目が悪くなる(インスリン抵抗性)ことによって、ブドウ糖が細胞に運ばれず、血液中にとどまって、血液中のブドウ糖が過剰になる(血糖値が上がり高血糖となる)病気です。

日本人をはじめアジア系民族は、インスリンを分泌する力が弱く、糖尿病になりやすいことが知られています。2016年に厚生労働省から出された統計によると、境界型を含む糖尿病患者さんは約2000万人とされ、成人の5人に1人にあたります。

糖尿病のタイプ

糖尿病は原因別に4つのタイプ『1型糖尿病』『2型糖尿病』『その他の特定の機序、疾患によるもの』『妊娠糖尿病』に分類されます。

1型糖尿病は、膵臓が壊されてインスリン分泌ができなくなります。そのため、治療は原則インスリン注射が必要になります。

2型糖尿病は、遺伝や生活環境など様々な影響を受けて発症します。日本の糖尿病患者さんの95%以上は2型糖尿病といわれています。

その他、遺伝子異常、膵臓や肝臓、甲状腺疾患から二次性に糖尿病を発症する場合もあります。また、ステロイドや免疫治療薬など、薬剤の副作用としても糖尿病になる可能性があります。

妊娠糖尿病は、上記3つの糖尿病とは別に診断基準がありますが、近年増加しています。妊娠糖尿病の場合、母児ともに合併症の危険が高いことが言われています。

糖尿病の合併症

糖尿病は全身の血管を傷つけることで、様々な合併症を引き起こします。有名な合併症として、糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症があります。その他、心筋梗塞や脳梗塞も糖尿病で3~6倍増加します。また、癌や認知症も糖尿病で約2倍増加することが知られています。

このように、生活の質や命までも脅かす合併症ですが、糖尿病の初期には自覚症状が出にくいため、気付かれないうちに年月が経ち、合併症が出て初めて病院を受診する場合も少なくありません。

まずは健康診断などでセルフチェックを行い、異常を指摘された際は早めに病院を受診しましょう。なお、当院では健康診断も行っておりますのでご希望の方は受付までお申し付けください。

糖尿病の治療

糖尿病の治療は『食事療法』『運動療法』『薬物療法』になります。

『食べることは生きること』糖尿病と診断されても、食べてはいけない物はありません。身体活動量やインスリンの分泌する力を評価し、適切な食事量を見つけることが大切です。

当院では、患者様ひとりひとりと相談しながら、その方に合った食事・運動療法を一緒に考えていきます。

薬物療法には、飲み薬と注射剤があります。糖尿病治療薬はたくさんの種類がありますが、患者様の病態や生活スタイルに合わせて、適切な治療薬を選択し、分かりやすくご説明します。